文部科学省発行「高等学校情報科『情報Ⅰ』教員研修用教材」の「学習11」にある「コンピュータの仕組み」ではコンピュータの構成要素が紹介されています。コンピュータの構成要素について、始めて手に入れたパソコンが自作パソコンだった過去を持つ、岡本所長が解説いたします。

はじめに

 パソコンには入力装置と出力装置が存在します。入力装置にはキーボードやマウス、最近でしたらオンライン授業などでマイクやカメラも利用しますが、それらも入力装置になります。出力装置はディスプレイやプリンターになります、オンライン授業でしたらスピーカーやヘッドフォンも出力装置になります。入出力装置のことを「周辺機器」とも呼びます。
 当たり前に思えますが、もし、パソコンの部品を買ってきて自分で組み立てる場合は入力装置や出力装置も別途調達する必要があります。また、自作以外でも急にオンライン配信を始めることになった場合には、必要な装置を買ってきて接続する必要があります。質の高いオンライン配信を行いたい先生方や、Youtuberになりたい方やプロゲーマーになりたい方はコンピュータの仕組みにも興味を持って頂ければ、きっと役に立つと思います。

入力装置の例

  • マウス
  • キーボード
  • タブレット
  • Webカメラ
  • マイク端子(マイクが刺さる)
  • オーディオインターフェース(マイク等の入力ができる装置)

出力装置の例

  • ディスプレイ
  • プリンタ
  • スピーカー
  • イヤホン端子(イヤホンが刺さる)
  • オーディオインターフェース(イヤホンやスピーカーが刺さる)

周辺機器の接続

 2020年現在、大半の周辺機器はUSB接続になっており簡単です。昔は規格が多かったのですが今はシンプルです。また、映像関係はHDMIが多いですね。ネットワーク接続はサーバーになると事情は変わってきますが、パソコンだと無線LAN接続が多いですね。それと、携帯のLTE回線に直接つなげられるノートパソコンも増えてきました。なお、ネットワーク接続は入力装置でもあり出力装置でもあります。

コンピューターの5大装置

入力装置や出力装置もコンピューターの主要な装置の一つですが、それらを制御する装置もまた、コンピュータの機能の一つです。それに演算装置と記憶装置を加えるとコンピューターの5大装置になります。

  • 入力装置
  • 出力装置
  • 制御装置
  • 演算装置
  • 記憶装置

CPU(中央演算処理装置)

 CPUは半導体素子で構成された、論理演算を行える装置です。パソコンのブラウザでウェブサイトが閲覧できるのも、マウスを動かすと画面上のカーソルがが移動するときも、裏側でCPUが絶えず論理演算を行ってくれているお陰です。論理演算については次の項で紹介しています。
 CPUの動作が速ければ速いほど、重たい処理が早く解決します。例えば、パソコンを起動するのに必要な時間や、撮影した動画を配信用に変換する作業などです。また、高機能なCPUは暗号化処理や動画変換処理を支援する命令などを搭載しているため、より速く仕事をこなすことができます。
 また、CPUは制御装置も兼ねています。マザーボード(に搭載されているノースブリッジやサウスブリッジ)と分担している場合もありますが、制御もCPUの仕事の一つです。

メモリ:一次記憶装置

 CPUの中にもレジスタやキャッシュという記憶領域はあるのですが、演算用のため、OSを動かしたり動画を加工するアプリケーションを動かすのには使えません。OSやアプリケーションを動かすための領域はメモリという一時記憶装置を使います。メモリが大きければ、OSとアプリケーションを快適に動かせますが、メモリ少ない場合はデータを何処かに待避しなければプログラムを実行できなくなります。実際には二次記憶装置にデータを一時的に待避するスワップという処理が発生します、その間はCPUが遊んでしまうため、速いCPUを使っていても無駄が発生します。

ハードディスク(HDD)とSSD:二次記憶装置

 パソコンに写真や動画を保存すると、どんどん空き容量が無くなっていくのが二次記憶装置です。パソコンの電源を切っても消えない記憶領域のため、パソコン仕事で使うデータや写真・動画などはここに保存します。また、メモリが少なくなったときには上記のスワップが発生して二次記憶装置にメモリの内容が待避してくる場合もあります。
 HDDは磁気ディスクとそれを読み取る針で構成された二次記憶装置です、大容量ですが針がシークして移動してから情報を読み書きする仕組みのため、ランダムアクセス性能が高くありません。
SSDは半導体のディスクです。ランダムアクセス性能が高く、また、最近では価格も下がっており高速化技術の進歩も目覚ましく2020年現在、主流の二次記憶装置です。なお、安価なノートパソコンやスマートフォンで使われているeMMCも半導体ディスクの仲間です。それとSDカードやUSBメモリも半導体ディスクです。

1次記憶装置と2次記憶装置の速度差

 1次記憶装置と2次記憶装置の速度差はいつの時代も1~2桁は違うと聞いたことがあります。2020年現在、最新のNVME規格のSSDは安価なものでも秒速2GB出ますが、メモリは普及帯のDDR4規格でも16GB程度は余裕のため、実際に一桁は違いがあります。